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更新日 2010-07-19 | 作成日 2008-07-24

「*豊かな色彩経験を創る」

色彩感覚と配色法について

 近年は、これらのトレーニング法も数多く紹介されていますが、国内の美術大学やデザイン学校などのアカデミズムの中では、伝統的に2つの流れがあります。
 ひとつは、東京美術学校(現・東京芸術大学)が伝統的に行ってきた方法です。現在この方法は全国にある美術大学の予備校の中で主に行われています。これはデッサン・描画など自然観察に基づいています。
 もう一つは、東京教育大学(現・筑波大学)や桑沢デザイン研究所が取り入れた方法です。これは、ヨーロッパのモダンデザインの考え方に基づいています。全国のデザイン学校の多くはこの方法を取り入れています。

 色彩を調和的に扱う試みは配色法として多く紹介されています。バウハウスの教師であったヨハネス・イッテンの配色法を学習された方も多いと思います。配色法は色を調和的に扱うための方法ですが、完成されたものではありません。配色のためのひとつの手がかりと考えた方が適切です。
 色彩感覚のトレーニングは、このような配色法を手がかりとして進められます。色感は身体感覚ですから、音楽やスポーツなどと同様に繰り返し練習することが必要です。経験のある指導者につけば、3ヶ月程度のトレーニングで一定の効果があがります。また一年半程度のトレーニング期間があれば、学習者の個性が十分に表現されるようになります。

色感・センスとは

 ヒトは少なくとも、色あいの差を100段階、明るさの差を100段階、鮮やかさの差を100段階、つまり100万色見分ける能力があるといわれます。しかし、これを実感できる人は少ないでしょう。

 微細な色の差を見分けるには、色を意識的に見るトレーニングが必要です。同時に色と色の関係を把握する必要があります。多くあるカラーモデルは、この色の関係を示す「地図」です。
 配色練習は、何らかの色彩調和論に基づいて行われます。この練習を繰り返す中で、色彩の調和とはどのようなものかを感覚的に理解していきます。この段階までくれば、色感は向上したと考えることができます。
 センスとは何か、というと難しい問題ですが、自身の好みに応じて調和的に色彩を選択・使用できる能力だと思います。色は個人の好みを強く反映します。また不思議なことですが、本人の身体的な色(例えば肌の色傾向)を反映することが多いと感じます。その意味では、色は身体感覚そのものの反映と言うことができるかも知れません。

配色法とカラーモデル

 カラーモデル(表色系)というと、日本工業規格にも採用されているマンセル表色系(米国)がとても有名です。マンセル表色系は、正確な色のモノサシとして広く利用されています。

 表色系には、色のモノサシとしての機能だけでなく、色彩のデザイン(配色理論)を考慮したものがあります。現在ではあまり利用されることがありませんが、オストワルト表色系がその典型です。北欧のNCS表色系や日本のPCCS表色系は、この流れを汲んでいますので、配色練習に多く利用されています。

アメリカの色彩研究の流れ

 第2次世界大戦後、アメリカでは色彩の産業利用の研究が進展します。いわゆる「カラーコンサルタント」という職能が登場したのもこの時期です。これには色彩心理・生理への関心が主なバックボーンとなっています。

 この時期に活躍したフェイバー・ビレンの配色理論はとても有名です。西洋の色彩・配色法に関する彼の研究は秀逸なものですが、日本のデザイン教育の現場にはあまり紹介されていません。これは日本のデザイン教育がバウハウスを範として確立したためと考えられます。